『のんきに生きる』
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<東北の本棚>おいしいもの 心豊かに
[レビュアー] 河北新報
著者は40年以上にわたりNHK「きょうの料理」に出演する人気料理研究家。「ばあば」の愛称で親しまれ、92歳の今もテレビや料理教室で和食の魅力を伝える。バイタリティーあふれるばあばが「人生を楽しく送るヒント」をつづった。
故郷の八戸市で料理上手な母の手ほどきを受けて育ったばあば。料理研究家としてデビューしたのは46歳の時だ。嫁ぎ先の東京で近所の人に教えた家庭料理が評判を呼び、テレビ番組から声が掛かった。
「何かを始めるのに遅すぎることはない」「コツコツ続ければ、生きがいにつながる」。年齢を言い訳にせずチャレンジする大切さを、実体験を基に説く。
困難や悲しみに直面したときには「なんとかなる」の精神で過ごす。そのおかげか、心筋梗塞やがんを患った時も回復が早かったそうだ。ばあばは「のんきさが免疫力を高めたのかしら」と思っている。
行動の根底には「おいしいものは心を豊かにする」との信念がある。入院中の夫に作りたての食事を出したいと病室で肉を焼いて怒られたり、時を忘れて食事会を楽しみ、家族が寝静まるころ帰宅したり。
時にとっぴでおちゃめな行動を取るが、キャラクターと信念を思えば不思議と納得。優しい語り口調も読む人を引きつける。
幻冬舎03(5411)6214=1188円。