小学生でもわかる。問題解決のための考える型「SCAMPER」とは?

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10歳でもわかる問題解決の授業

『10歳でもわかる問題解決の授業』

著者
苅野進 [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784894517714
発売日
2017/09/19
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

小学生でもわかる。問題解決のための考える型「SCAMPER」とは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

10歳でもわかる問題解決の授業』(苅野進著、フォレスト出版)の著者は、経営コンサルティング会社を経て、小学生向けに「問題解決力」「論理的思考力(ロジカルシンキング)」を高めるための「考え方」を教えてきたという人物。経営コンサルタントが数年かけて身につける「問題解決のための“思考のフレームワーク(考え方の型)”」を、小学生にもわかるように指導しているというわけです。つまり本書は、実際に小学生に教えている技法をまとめたもの。

本書では、「自分で考える」ことについての“苦手意識を取り除くための心理的・技術的なコツ”を紹介していきます。

「考えることの意味」は、正解というゴールにたどり着くことだけではなく、その過程で様々な付加価値を生み出していることです。

本書で扱うような「問題を分解する」「仮説を立てて実験する」「様々なものさしで評価する」といった作業を通じた試行錯誤をすること自体が物事を解決し、より良い方向に進めてくれるのです。(「はじめに」より)

きょうはそんな本書の2時間目「精度の高い“仮説を立てる手順”とは?」のなかから、「問題解決のためのSCAMPER——的外れをなくすために」に焦点を当ててみたいと思います。ここで紹介されているのは、ある問題に対して、解決策を見つけるときに役立つ「考える型」であるSCAMPER(スキャンパー)

S:Substitute サブスティテュート(代用する)

C:Combine コンバイン(組み合わせる)

A:Adapt アダプト(適応させる)

M:Modify モディファイ(修正する)

P:Put to other uses プット トゥ アザ ユースィズ(その他の使い方をしてみる)

E:Eliminate エリミネート(取り除く)

R:Rearrange リアレンジ(並び替える)・Reverse リバース(逆にする)

(60ページより)

これらが「状況を打破するための突破口を見つけるヒント」だという考え方です。

S 代用する

Substituteは、「代わりに“なにか”“誰か”を使うことはできないか」という思考。たとえば「遅刻をなくすために早く移動したい」という問題を解決するための策を考えるとき、「徒歩ではないなにか別の方法は?」という視点で考えることによって、自転車移動や車移動という選択肢が思い浮かぶということ。こうした代用の考え方は不足を補うだけでなく、まったく新しい価値を生み出すこともあるといいます。(62ページより)

▶︎練習問題

Q 儲かっていないスーパーの解決策を考えてみよう!

例1:スーパーの場所代がもったいないから、「代わりに」放課後の学校でやる

例2:売れ残りを安売りする「代わりに」、料理にして次の日に高く売る

例3:農家から仕入れる「代わりに」、自分たちで栽培して売る

(63ページより)

C 組み合わせる

Combineは、組み合わせることで、新しい効果を生み出していくこと。たとえばいい例が、財布、定期券、携帯電話をひとつに組み合わせてみようという発想から生まれた「おサイフケータイ」。「ひとつにまとめてコンパクトにする」だけでなく、組み合わせることで1+1=2以上のものが生まれることもあるということ。まさに相乗効果だというわけです。(64ページより)

▶︎練習問題

Q 儲かっていないスーパーの解決策を考えてみよう!

例1:安く仕入れられる野菜とそれでできる料理のレシピを「組み合わせて」売る

例2:スーパーと薬局を「組み合わせて」営業する

例3:有料ショッピングバッグ販売と、買った人への値下げを「組み合わせて」実施する

(65ページより)

A 適応させる

Adaptとは、これまでの成功事例を、新たな状況に適応させてみること。たとえば、決まった時間にテレビの前に座ってくれなくなったスマホ世代の若者向けに、どうやって映像コンテンツを届けるか。Netflix(ネットフリックス)などのサービスは、「既存の映像ビジネスを、スマホ世代の行動様式に適応させた」といえるわけです。

(66ページより)

▶︎練習問題

Q 儲かっていないスーパーの解決策を考えてみよう!

例1:セルフのガソリンスタンドのやり方を、スーパーに「適応させる」ことで人件費を削る

例2:スマホの通話し放題を「適応させて」、定額で買い放題サービスを始める

例3:健康に気を使っている人に「適応させて」、太りそうなものはいっさい売っていないスーパーをつくる

例4:料理の下手な人に「適応させて」、買った食材をその場で調理してくれるサービスを始める

(67ページより)

M 修正する

Modifyは、いまあるものを変形させてみることで、新たな状況に対応していくことを目指すもの。高齢者に使いにくかったスマートフォンを、「よりシンプルなものにしてみる」「ボタンの増えすぎたテレビのリモコンを、シンプルなものにしてみる」など、見方によってはダウングレードしていても、状況に合った形に変えていくことで問題解決につながるということ。(68ページより)

▶︎練習問題

Q 儲かっていないスーパーの解決策を考えてみよう!

例1:値札を値段だけではなくて、売り文句も書いてあるように「修正する」

例2:車イスや杖をついているおばあちゃんたちが、ゆっくり買い物できるように、狭い通り道が多い店内を安全な形に「修正する」

例3:ひとつずつスキャンしなくても、自動で会計ができるように値札を「修正する」

(69ページよ

P その他の使い方をしてみる

Put to other usesは、目の前のものを別の用途に使って有効活用したり、新たなニーズに対応させられないかという考え方。ここで例に挙げられているのが富士フイルムです。もともとカメラのフィルムをつくっていた同社は、デジカメやスマホの普及により、売上が落ちてしまいました。しかし、フィルムの技術にはコラーゲンなど化粧品や医薬品でも使われるようなものが多く使われていたため、現在はヘルスケアを中心に据えた別業態の会社へと生まれ変わったのです。(70ページより)

▶︎練習問題

Q 儲かっていないスーパーの解決策を考えてみよう!

例1:会いている場所で料理教室をするという「別の使い方をしてみる」

例2:カゴからビニールに移すのが面倒だから、カゴを家に持って帰るためのバッグとして「別の使い方をしてみる」

例3:キッザニアのようにお金をとって、働き方を学ぶ場所として「別の使い方をしてみる」

(71ページより)

E 取り除く

Eliminateは、すでにあるものをシンプルにしてみたり、問題をあえて絞り込んでみる技術。高齢者向けに、あえて機能を限定したスマホや、メニューを絞り込んで「○○といえば△△」というブランディングに成功したレストランなどがその例。

▶︎練習問題

Q 儲かっていないスーパーの解決策を考えてみよう!

例1:こだわりの地元食材のみにして他の商品を「取り除く」

例2:獲れすぎて激安になっている商品だけを置いて、他を「取り除く」

例3:レジのサービスを「取り除いて」、自分でやらせる

(72ページより)

R 並び替える・逆にする

Rearrangeは並び替える、Reverseは逆にするということで、本来の順序や手順、立場を入れ替えてみる技術。たとえば従来の転職サイトは「応募者は無料、採用する企業側に課金」というスタイルでしたが、ビズリーチ社は応募者に課金というビジネスモデルで驚かせました。その結果、登録料を払ってまで転職情報を求める層は、能力、そして転職しようという意欲が高いため、企業と登録者双方にとって好循環が生まれたわけです。(73ページより)

▶︎練習問題

Q 儲かっていないスーパーの解決策を考えてみよう!

例1:自分では選べないスーパー。福袋だけを販売する

例2:太りたい人向けのスーパー。高カロリー食材だけを販売する

例3:お金をもらってから、仕入れに行く

例4:売り場を、一緒に食べたらおいしい物同士を近くに置くように並び替える

(67ページより)

本書は、著者が小学生向けに開講している「学習塾ロジム」の授業を再現したもの。「自分で問題を解決する」「適切に試行錯誤をする」「知っていることを組み合わせて新しい自分の考えをつくってみる」といった「考え方」「問題解決」の初歩の型が紹介されており、ビジネスパーソンにとっても大きなヒントとなるものばかりです。

「過程にすぎないと思われている『考え方』がうまくなることは、仕事を前進させ、人生を豊かにしてくれます」。著者のこの言葉にピンときたなら、手にとってみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2017年10月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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