『クー・クラックス・クラン』
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白い目出し帽と三角頭巾の正体
南北戦争直後にアメリカ南部で結成された秘密結社KKK。白人至上主義を公然と標榜する極右団体の来歴を懇切丁寧にときほぐした一冊である。新書判とは思えない、濃密な記述。それでいて議論の筋道はすっきり整理されている。著者は「本邦初となるクランの歴史的変遷を論じたもの」と述べているが、その看板に偽りなし。本書はその団体の研究書というだけでなく、トランプ大統領登場後の排外主義の流れを読み解くツールにもなるだろう。グリフィスの映画『國民の創生』(一九一五年)が、「クラン=白装束」というイメージを社会に広く知らしめたという記述があるが、そのあたりの詳細は、町山智浩『最も危険なアメリカ映画』も併せて参照されたし。(10・14刊、二二四頁・本体八〇〇円・平凡社新書)