『ラテンアメリカ文学入門』
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百年の文学・歴史を一挙に描き出す
[レビュアー] 図書新聞
20世紀中ごろから世界各国で巻き起きた「ラテンアメリカ文学のブーム」は、日本を含め多くの作家たちに影響を与え、今でも現在進行形で成長し続けているように見える。だが、そのブームは個々の作家たちの才能だけで開花されたわけではない。本書は19世紀のロマンスから、ボルヘスらの幻想文学、いわゆる「ブームの五人衆」、ベストセラー小説、そしてボラーニョなどの現代の書き手まで取り上げてラテンアメリカ文学の発展について論じ、さらにその背景にある様々な政治情勢や文化事業、出版業界の戦略などといった社会的要因にも触れている。文字通りラテンアメリカ文学の入門書でありながら、ラテンアメリカの「歴史書」にふさわしい。(10・25刊、二三〇頁・本体七八〇円・中公新書)