戦慄せずにいられない一冊

レビュー

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アイヒマン調書

『アイヒマン調書』

著者
ヨッヘン・フォン・ラング [著]/小俣和一郎 [訳]
出版社
岩波書店
ISBN
9784006003678
価格
1,577円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

戦慄せずにいられない一冊

[レビュアー] 図書新聞

 戦慄せずにいられない一冊である。「凡庸なる悪」という言葉と不可分になったこの男、ナチス・ドイツのユダヤ人(だけではないが)大量虐殺のキーパーソン、アドルフ・アイヒマンは、戦後逃亡し、一九六〇年に拘束された。その後の尋問の調書が本書だ。尋問を担当したのはアヴネール・W・レスで、彼が書いた本書「あとがき」は、一字一句、ないがしろにできない。熟読に値する。さて、「忖度」が「流行語」となるような時代である。「上からの命令だ」「それは絶対にありません!」と繰り返すアイヒマンの言葉に、カケのこの顔、サガワのあの顔を思い浮かべざるをえない。「ホロコーストを可能にした」プロセスは、まだ生きているのだ。(小俣和一郎訳、8・18刊、四三四頁・本体一四六〇円・岩波現代文庫)

図書新聞
2017年9月23日号(3320号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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