こわいけれどいとおしい昆虫たち
[レビュアー] 図書新聞
ベストセラーとなった『昆虫はすごい』だけでなく、ここ数年、昆虫のすごさ不思議さ面白さ、そして美しさを綴った著書を立て続けに刊行し、図鑑の監修までしている丸山宗利の最新刊。今回は「こわさ」だ。こわい、けれど昆虫への興味は止まることをしらない。まるで子供のように夢中になって昆虫採集をし、素直に驚き、感動し楽しむ姿はこれまでと同様で、読んでいるこちらまで子供のころ採集に出かけたときの胸の高鳴りを思い出し、頁を繰る指を止めることができなくなってしまう。ツノゼミ好きで知られる音楽家・知久寿焼氏との交流にも触れられ、知久氏が十五年間毎年通っているというカンボジアを訪れたことも綴られている。本書は昆虫記であるとともに、読みごたえ十分の旅行記でもある。(7・30刊、二六四頁・本体一〇〇〇円・幻冬舎新書)