「単独の内面」から発せられる文学の言葉
[レビュアー] 図書新聞
目取真氏のブログ「海鳴りの島から」はここ数年見逃すことのできないメッセージだ。彼は高江のヘリパッド建設阻止、辺野古の新基地建設工事反対の最前線に身を置き続けてきたが、本書で「……肉体的にも精神的にも負担は大きい。それでも反戦・反基地の行動に参加するのは、沖縄が置かれている理不尽な状況を許せないからだ」と述べる。沖縄では米軍による事件や事故が頻発し、出撃する米軍は攻撃先の町を破壊し住民を殺傷する。目取真氏の言葉は重層する暴力発動の場から、その傷口から絞り出されたものだ。「当事者なんですよ、肉体的にも内面的にも」と辺見氏は言う。そして「単独の内面」にしか可能性はないと。目取真俊の言葉が小説そのものであることを、二人の対談はみごとに示している。(8・10刊、一九二頁・本体八〇〇円・角川新書)