明文堂書店石川松任店「機巧人形をめぐる、驚愕の時代SFミステリ!」【書店員レビュー】

レビュー

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機巧のイヴ

『機巧のイヴ』

著者
乾 緑郎 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784101207919
発売日
2017/08/29
価格
680円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

明文堂書店石川松任店「機巧人形をめぐる、驚愕の時代SFミステリ!」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

《子を孕んだ女の体には、魂が二つ同居している。//よくよく考えると、それは尋常ならざることだ。//では、女の子宮に宿った命は、いつどこからやってきたのであろうか。//魂が、どこからかやってきて宿るものであるなら、今、自分が手がけているこの赤児の機巧人形にも、不意に魂が宿ることがあるのではなかろうか。》

 蟋蟀の雄同士を闘わせる闘蟋の場に機巧化された蟋蟀を持ち込む。そんないかさまを見抜いたことで金の当てを作った江川仁左衛門は、遊女の羽鳥を身請けし、自由にしたいと考えていた。しかし同時に羽鳥を独占したいとも思っていた仁左衛門は、羽鳥そっくりの機巧人形を作ってもらうため、機巧人形を作れるという噂を持つ幕府精煉方手伝、釘宮久蔵のもとを訪ねる……という表題作で始まる本書は、時代ファンタジーとしても、SFとしても、ミステリとしても強い印象を残します。徐々に壮大さを増していく伊武を中心とした機巧人形をめぐる物語は、信じられないような結末を迎えます。その結末はあまりにも切ない……。

 個人的にはアクション性の強い伝奇小説があまり得意ではないのにこれだけ愉しめたのだから、きっと好きな人にはたまらないと思います。

トーハン e-hon
2017年9月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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