明文堂書店石川松任店「ユーモラスな学生寮物語の皮を被った……。」【書店員レビュー】

レビュー

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100億人のヨリコさん

『100億人のヨリコさん』

著者
似鳥鶏 [著]
出版社
光文社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784334911812
発売日
2017/08/16
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

明文堂書店石川松任店「ユーモラスな学生寮物語の皮を被った……。」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

 二年間暮らした寮を引き払った貧乏学生の小磯は、大学のサイトにも載っておらず、その実在さえ疑われている富穰寮に引っ越すことになる。秘境のような場所に存在する月額千三百円という富穰寮に住み始めた小磯は、その寮の異常さに驚く。そして小磯を歓迎する宴会(この内容がとんでもない!)で寮生の先輩から依子さんについて聞かされる。小磯は、《見てしまった人間は二、三割の確率で死ぬか行方知れずになる》という依子さんに入寮一日目で遭遇してしまう……。

 奇人、変人(善良ではあるけれど……)に囲まれた比較的常識人の主人公の受難(?)を描いたギャグ小説だと思っていたら、まさかこんな話になるなんて……ということで本書は、ユーモラスな学生寮物語(これもとても面白いのですが)の皮を被った世界規模のパニック(そのパニックがどういうものなのかを明かすことはできないのですが……)に立ち向かう壮大な物語です。変だけど好感の持てる登場人物たちの必死な姿が、たまらなく愛おしい一冊です。遊び心に満ちた注釈もこの物語に合っていて、とても好きです。

トーハン e-hon
2017年9月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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