『NO推理、NO探偵?』
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明文堂書店石川松任店「推理って、必要ですか?」【書店員レビュー】
[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)
ロジックを駆使する女子高生探偵、美智駆アイは犯人に掛けられた催眠術(?)によって推理ができなくなってしまった。アイがもっと有名な探偵になる上で、推理は不必要だ、と考えていた助手の取手ユウは、これを好機と、アイの尻を叩きながら推理なしの事件解決を目指す。
ちょっとした奇抜な作品が平凡な作品に見えるほど、世の中には問題作、怪作が氾濫していますが、本書は《問題作》と評して何一つ誇張にならない一冊です。《ミステリ》というジャンルを痛烈に皮肉った作品、という表現さえ生易しいことに、物語の終盤気付かされる。あらゆるものを、ミステリを書くための道具にするその勇気と貪欲さに脱帽です。ミステリの(そしてメフィスト賞の)懐の広さが分かる、究極の《問題作》です。これ卑怯だよ。