明文堂書店石川松任店「推理って、必要ですか?」【書店員レビュー】

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

NO推理、NO探偵?

『NO推理、NO探偵?』

著者
柾木 政宗 [著]
出版社
講談社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784062991018
発売日
2017/09/07
価格
968円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

明文堂書店石川松任店「推理って、必要ですか?」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

 ロジックを駆使する女子高生探偵、美智駆アイは犯人に掛けられた催眠術(?)によって推理ができなくなってしまった。アイがもっと有名な探偵になる上で、推理は不必要だ、と考えていた助手の取手ユウは、これを好機と、アイの尻を叩きながら推理なしの事件解決を目指す。

 ちょっとした奇抜な作品が平凡な作品に見えるほど、世の中には問題作、怪作が氾濫していますが、本書は《問題作》と評して何一つ誇張にならない一冊です。《ミステリ》というジャンルを痛烈に皮肉った作品、という表現さえ生易しいことに、物語の終盤気付かされる。あらゆるものを、ミステリを書くための道具にするその勇気と貪欲さに脱帽です。ミステリの(そしてメフィスト賞の)懐の広さが分かる、究極の《問題作》です。これ卑怯だよ。

トーハン e-hon
2017年9月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク