大切なのは「生活の安定」を維持すること。ヨッピーさんが教える、楽しく稼ぐための心得

レビュー

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明日クビになっても大丈夫!

『明日クビになっても大丈夫!』

著者
ヨッピー [著]
出版社
幻冬舎
ISBN
9784344031814
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

大切なのは「生活の安定」を維持すること。ヨッピーさんが教える、楽しく稼ぐための心得

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

明日クビになっても大丈夫!』(ヨッピー著、幻冬舎)の著者は、7年間の商社勤めを経て、原点となった「オモコロ」などのウェブメディアで活躍するライター。現在はサラリーマン時代の何倍もの年収があるそうですが、つまり本書では実体験を軸として、「楽しく稼ぐ」方法を明らかにしているわけです。

この本でこれから書く内容は、「天職の見つけかた」とか「副業で稼ぐ方法」とかそういうふうに読み替えてもらっても構わない。なんとなく、「将来どうしようかな」って悩んでる学生、「このままこの仕事を続けていてもいいのかな」と漠然と思ってる社会人、「もっと面白い仕事はないか」「本当にやりたいことってなんだっけ」とか、そういう悩みを抱えた人に是非読んで欲しいし、そういう人に向けて自分なりに一生懸命書いたつもりだ。(「はじめに」より)

少子高齢化が進み、経済状況も改善されないなか、誰しもが少なからず「仕事に対する不安」を抱えています。しかし、それをそのまま放置していても不安が解消されるはずもなく、むしろ不安を増大させるだけ。だからこそ、不安を解消するには自分自身が行動し、生き延びる力を身につけるしかないということ。そしてその根底にあるのは、「好きで仕方がないことを仕事にすべきだ」という考え方です。

でも、そのためにはどうしたらいいのでしょうか? どうやら「副業」がキーワードになるようです。第二章「趣味をお金に変えよう」から、いくつかの要点を抜き出してみましょう。

こっそりと二足のわらじを履こう

そんなわけで僕が言いたいのは、「皆さんもなんかやれ」ということだ。そしてそれは「副業」という形でスタートするのがいいと思う。「よし! じゃあ僕もなんかやろう!」と思ってもらうのがこの本の趣旨ではあるのだけど、だからと言って僕が言う事を鵜呑みにして「よし! 明日会社辞めよ!」って決断するのはまだ早いし、「パンストが大好きだから会社辞めてパンスト専門店作ろ!」とかいうのも早い。(62ページより)

かつての著者はサラリーマンをしながら「オモコロ」で記事を書いていたそうですが、そうやって本業と並行して「趣味」を徐々に発展させていくべきだということ。「仕事がつまらないならサラリーマンなんて辞めちまえ!」と軽々しく勧めるのは、あまりにも無責任。もっと親身になって考えれば、そんなことは気軽に言えるはずもなく、「もっとマイルドな選択肢があるんだぞ」ということを伝えたいというのです。

事実、好きなことをやろうと決めたからといって、すぐに稼げるはずもありません。その証拠に、サラリーマンを辞め、「さあ、好きなことで稼ぐぞ!」と意気込んだ人はまず最初に必ず、「稼げずの谷」を通ることになると著者は指摘しています。最初から順調に稼げることなんてありえないのだから、この「谷」は起業した誰しもが通る道だということ。

だからこそリスクを避けるためにも、まずは副業という形で趣味を発展させる事を考えるべきだ。僕が稼げずの谷を割とあっさりと越えられたのも、サラリーマンをしながらオモコロでライターとして活動していた実績があったから、というのがものすごく大きい。あれがもし、ライターとしてなんの実績もないまま、スパーンと会社を辞めてしまっていたらたぶん今頃は「貧乏YouTuber」みたいな感じでモヤシ炒めの実況動画なんぞを作ってたかもしれない。再生回数は20だ。(64ページより)

「趣味で生きること」の成功例は、いうまでもなく「生活の安定」と「自己実現」を両立させること。しかし多くの場合、最初からうまくいくものではないと著者も記しています。そこでサラリーマンとしての収入で「生活の安定」を維持し、もう一方の趣味で「自己実現」をすればいいということです。(62ページより)

会社を辞めてもいい3つの条件

大切なのは、「これだ!」と思える副業を見つけること。では、それを一生の仕事にしようと決めたとして、どのタイミングで仕事をやめればいいのでしょうか? このことについて著者は、3つの条件を挙げています。

会社員をしながら、副業で月に10万円以上稼いでいること

「月10万円のハードル」はたしかにあるもの。しかもそれは瞬間最大風速としての10万円ではなく、「安定的に月10万円稼げるかどうか」ということ。具体的には10万円を切らない月が半年くらい続いたら、条件クリアと見ていいそうです。会社員としての立場を維持した状態で使える時間、すなわち平日の夜や土日だけで月に10万円稼げるのなら、会社員を辞めてその時間を事業に突っ込んだ場合、もっと稼げるということになるからです。

1年間生活できるだけの貯金があること

具体的には、独身者で300万円くらい。「収入が一切なかったとしても、とりあえず1年やっていける」くらいの貯金は絶対にためておいたほうがいいということ。その理由について著者は、「ある程度の余裕がないと単価や条件の悪い仕事を受けざるを得なくなり、『稼げずの谷』にハマッてしまう可能性が高いから」だと説明しています。

でも300万円の貯金があり、月に10万の収入があるのであれば、1〜2年は過ごせるはず。逆にいえば2年が経過してもサラリーマン時代の月給以上を稼ぐことができず、見込みもないのであれば、すっぱり諦めてサラリーマンに戻ってまた次のチャンスを待つほうがいいということです。

身軽になること

これは具体的にいうと、月あたりの支出を少なく抑えることだといいます。既婚者より独身のほうがいいだろうし、家賃などの固定費も少ないほうがいいということ。移動手段のない地方に住んでいるというわけでもないのだとしたら、車も処分したほうがいいといいます。身軽になるべきだとは、つまりこういうこと。

その副業が会社員時代の仕事よりも「楽しい」と思えることは大前提ですが、これら3点をクリアした段階であれば、会社を辞めてもやっていける確率は高いそうです。

特にこの、「副業で月に10万円の収入を継続」っていうのは本当に意識するべきで、例えば一日で2、3万円がたまたま儲かったと言って、そのまま「一日で3万円儲かったなら、月に20日働いたら60万になるな。よし! じゃあ会社辞めよ!」ってなるのは明らかにリスクが高い。というかその計算はバカが解いた計算ドリルである。「やっていけそうだ!」と思えるまでは会社員という身分にしがみついたまんまあれこれ試行錯誤するのが賢いやりかたのはずだ。(95ページより)

「会社を辞める」ということを多少なりとも意識している人にとって、たしかにここはとても重要な部分ではないでしょうか。(92ページより)

会社を辞めることのメリットとデメリット

次に、著者が紹介する「会社を辞めることのメリットとデメリット」を見てみましょう。まずはデメリットから。

社会的信用のなさ

世間体の悪さ

孤独である

会社を辞めれば収入は不安定になり、社会的信用は失われます。世間体もいいとはいえず、自分だけでやっていくことになるため、孤独に耐える必要もあるということです。

とはいえ、怒られなくなる

そして、健康になった

しかし、「自分で好き放題やれる」「ひとりで仕事をする」ということは、怒る人が周囲にいなくなるということでもあり、これがメリットだと著者は記しています。そしてその結果、睡眠不足が解消され、健康になったのだとか。

このように、当然のことながらメリットもデメリットもあるわけです。つまり大切なのは、自分自身がそれらをどのように許容できるか、であるはず。(100ページより)

フリーランスになることや起業することを勧めるメッセージは、ネット上にもあふれています。しかし大切なのは、「それで食べていく」ことであるはず。そういう意味で、経験に基づいた著者の主張には役立つ部分が多いのではないでしょうか。

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2017年10月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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