『湖畔荘(上・下)』 ケイト・モートン著

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湖畔荘<上>

『湖畔荘<上>』

著者
ケイト・モートン [著]/青木純子 [訳]
出版社
東京創元社
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784488010713
発売日
2017/08/31
価格
2,052円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

湖畔荘<下>

『湖畔荘<下>』

著者
ケイト・モートン [著]/青木純子 [訳]
出版社
東京創元社
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784488010720
発売日
2017/08/31
価格
2,052円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『湖畔荘(上・下)』 ケイト・モートン著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 ロンドン警視庁の女性刑事セイディ・スパロウは、女児を置き去りに失踪したある母親の事件の捜査で不祥事を起こし、コーンウォールにある祖父の家に引っ込んで謹慎期間を過ごすことになる。散歩中に迷い込んだ湖のほとりの古い屋敷で、七十年前に男児が失踪する事件が起きていることを知り、興味を抱いて調べ始める。男児の姉・アリスは著名な女性ミステリ作家になっており、セイディは彼女に接触するが――

 本書の筋書きの「幹」はこんな感じなのだが、この幹には盛大に枝葉が繁(しげ)っており、蔦(つた)が幾重にもからみついており、下草もみっしり生えている。ストーリーは過去と現在のロンドンとコーンウォールを行き来しつつ多視点で語られ、そのなかには悪意を持って嘘(うそ)をついている人物がいるかもしれないし、いないかもしれない。著者はよくデュ・モーリアに比されるが、本書にはアガサ・クリスティのメロドラマ・ミステリに似た雰囲気が色濃く漂っている。秋の夜長にじっくり味わいたい上下巻だ。この展開で、結末が明るいというのも驚きポイントが高い。青木純子訳。

 東京創元社、各1900円

読売新聞
2017年10月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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