『アイスクリームが溶けてしまう前に : 家族のハロウィーンのための連作』
- 著者
- 小沢, 健二, 1968- /日米恐怖学会
- 出版社
- 福音館書店
- ISBN
- 9784834083538
- 価格
- 1,540円(税込)
書籍情報:openBD
【児童書】『アイスクリームが溶けてしまう前に』
[レビュアー] 篠原知存(ライター)
■怖そうに楽しそうに
じつは昔、ハロウィーンは、子供がいたずらしてもいい日だった。エープリルフールが嘘をついてもいい日なのと同じ。ところが世界恐慌で大人の世界がメチャクチャになったとき、子供たちのいたずらが本当にひどくなった。
〈大きな男の子たちは、電信柱をノコギリで切り倒したり、路上の車をひっくり返したりした〉
〈町の大人たちは怒って、いたずらっ子を銃で撃ったりした〉
楽しいはずのハロウィーンが戦争みたいになったので、大人たちはやり方を変えた。「いたずらしない子にはお菓子をあげる」というお祭りに…。
小学校の読み聞かせタイムに持っていって、3年生に一番ウケたのは、この部分。「げーっ」とか「うはは」とか、怖そうに楽しそうに聞いてくれた。
シンガー・ソングライターの“オザケン”が文章を担当した絵本。ある街のハロウィーンの一日が描かれる。総ルビで小さな子でも楽しく読めて、込められた詩情は大人にも響く。家族で一緒に。(小沢健二と日米恐怖学会著/福音館書店・1400円+税)
篠原知存