『投資なんか、おやめなさい』
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この一冊こそが最良の投資先
[レビュアー] 林操(コラムニスト)
前に経済誌で連載してたせいか、カネがらみの相談をよく受けます。直近でシビれたのは、傘寿も近い父親がン千万も一時払いした生命保険、その中身が不可解すぎるという娘の怒り。
チェックしてみたら、外貨建てだわ、株が投資対象だわの素敵に高リスクな金融商品で、各種手数料もバカ高なうえに、形は生保だから契約者が死んだ時点で運用は強制終了。闇のなか上下左右に突き進み、どこで停まるかもわからない絶叫マシーンでした。
しかも、その乗車券を売ったのは、旧財閥の看板2枚に信託の2文字まで背負ってる銀行。老舗の信託銀行で安心を買ったつもりが、インチキ証券会社でも売らないような不安を抱え込んじゃった。そう嘆く相談者とその親に、カモられる前に読ませたかった新書が荻原博子の『投資なんか、おやめなさい』です。
引き続きデフレのニッポンではキャッシュこそ最強で、それを株だ投信だ金だ不動産だに変えるのは、素人が損して玄人に得させる愚行。プロたちは投資に見えない投資さえ売り込んでくるから、その気のないアナタでも投資の渦に巻き込まれるし、色気のあるアナタならもっと危ない。
そういう手口と実情が金融商品の実名込みでテンコ盛りの警告の書だもの、さっそくよく売れてるようで、この書評を出先で書くのにもう1冊買おうとしたら、書店3軒にアマゾンまで品切れでした。大増刷出来の今、コレに払う821円こそ、最良の投資ですぜ。