<東北の本棚>戦後に平和主義を徹底

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教育の良心を生きた教師

『教育の良心を生きた教師』

著者
田中武雄 [著]/春日辰夫 [著]
出版社
本の泉社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784780716269
発売日
2017/07/20
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>戦後に平和主義を徹底

[レビュアー] 河北新報

 太平洋戦争後の教育現場で平和主義を徹底し、宮城県などで「教育の良心」を守り続けた教師、三島孚滋雄(ふじお)(1905~90年)の人生をたどる。三島が残した論稿や関係者へのインタビューなどから、教育者としての三島の姿に迫った。三島は東京都出身。岩手県の旧制黒沢尻中で教師生活を始め、北海道深川高(50~52年)や白石市白石中(53~57年)などで校長を務めた。
 戦後、教え子を戦場に送った責任の反省から「もう二度と再びあの過ちを犯してはならない」と誓った三島。憲法について「前文における徹底した平和主義の精神をもって、第9条を解釈すべきだ」との確かな考えを持ち、一貫して変わることはなかった。
 深川高校長時代。保安大学校受験を希望した生徒に「保安大学は職業軍人養成を目的とする。戦争放棄を明示した現憲法下において肯定できない」と、思いとどまるよう説得した。白石中では、原爆に被爆した子どもの文集を基にした映画「ひろしま」の鑑賞会を企画。保護者から批判を受けたが「原爆を過ぎ去った出来事、過去の悪夢として忘れてはいけない」と訴えたという。
 他にも「実務学級(特別支援学級)」の特設や教員の勤務評定断固反対など、校長として、自校の子どもや教員全体の力を高めるために何をすべきかを具現化した。
 著者の田中氏は宮城教育大名誉教授、春日氏はみやぎ教育文化研究センター前所長。民主教育研究所(東京)の野々垣務氏と3人で研究を始めたが、野々垣氏が急逝、田中、春日両氏が遺志を継いで執筆した。
 本の泉社03(5800)8494=1620円。

河北新報
2017年11月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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