落ち込むのは時間のムダ。「自分ほめメモ」を習慣化すれば、すべてが前向きになる?

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落ち込むのは時間のムダ。「自分ほめメモ」を習慣化すれば、すべてが前向きになる?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

1日1ほめで幸運を引き寄せる 自分をほめる習慣』(原 邦雄著、すばる舎)の著者は、人をほめて育てるメソッド「ほめ育」の研究家として、「一般財団法人 ほめ育財団」の代表を務める人物。年間200回以上の講演と、「世界196カ国の人たちを輝かせること」をミッションに掲げ、世界各国にを広げる活動を展開しているのだそうです。

誰でも気軽に受講できる講座から、企業の業績アップのための研修まで、これまで世界で200社、のべ100万人以上の人たちに「ほめる」ことの大切さとすばらしさを伝えてきたのだとか。でも、「ほめる」というシンプルな行動に、それほどの効果があるのでしょうか?

人の悩みには、大きく分けて3つのカテゴリーがあると言われています。

「人間関係」「仕事・お金」「健康」。

この3つのいろいろな問題を、「自分ほめ」はたちどころに解消し、さらに身についた自信で今以上のステップアップを可能にしてくれるのです。(「はじめに」より)

とはいっても、自分で自分をほめるのはなかなか難しいものでもあります。そこで本書においては、「自分をほめる習慣」を身につけるための具体的な方法を紹介しているというわけです。

ほめるの語源は「誉(ほ)む」です。「誉む」とは、人の幸福や繁栄を祈るという意味です。自分をほめる習慣は、自分の幸せや繁栄を祈る習慣でもあるのです。(「はじめに」より)

この言葉を心に刻んだうえで、第3章「『1日1ほめ』でOK! 自分をほめる習慣を身につけよう」を見てみましょう。

「自分ほめ」を習慣にする

誰にでも、習慣になっていることがあるもの。たとえば歯磨きがいい例ですが、覚えたばかりの子どものころは、両親に教えられ、意識的に行なっていたはず。初めはうまくできなかったり、毎日磨くのが面倒だと感じたものの、いつの間にか習慣になり、毎日磨くにが当たり前になっていったわけです。

このように習慣化してしまうと、「嫌だ」というような感情が湧かなくなるのだといいます。それは、「自分ほめ」についても同じ。まずは簡単なこと、できるところから始めていけば、それほど苦労することもなく習慣にできるというのです。そして「自分ほめ」を習慣化して毎日「ほめ貯金」をしていけば、それが積もり積もって一生の財産になるのだと著者。

「自分ほめ」によって、もうひとりの自分(著者はこれを「潜在意識くん(彼/彼女)」と呼んでいます)をほめれば、彼/彼女が最強の味方になってくれるというのです。そればかりか、「自分ほめ」を習慣にして毎日実践すれば、潜在意識くん(彼/彼女)は24時間365日、人生を応援して幸せを引き寄せてくれるようになるとも。(114ページより)

「自分ほめ」メモとは?

「自分ほめ」を実践するため、著者は8年間にわたって「自分ほめメモ」をつけているのだそうです。A4一枚の白紙に手書きで、いろいろなことを書き込んだもの。書いてあることは、自分の頭のなかにあるすべてだといいます。

・ 自分の仕事(タスク)

・ いまの悩み事や困り事

・ 放置している課題

・ それらの対策案

・ 実際に行動したり、努力している事

・ 幸せにしたい人たちの名前

・ 仕事のアイデア

・ アイデアを実践してくれる人の名前

・ 未来のビジョン

(120ページより)

さまざまなカテゴリーがあるものの、大切にしているのは次のふたつ。

1. 自分の頭のなかを全部出している

2. 毎日必ず新しいメモに写し変えている

(122ページより)

頭のなかにあることを外に出せば、悩みに囚われなくなるというのです。そして「自分ほめメモ」の内容を行動に移し、タスクを消し込んでいく。それを毎晩、10分程度の時間を使って新しいメモに写し変える。もちろん完了したタスクは書かず、まだやっていないことや将来のことなどをすべて書き写すということ。そうすれば、書きながら次のアイデアを発想するなど、さまざまなメリットがあるのだといいます。(119ページより)

悩みは、書き出せば「悩み」ではなくなる

「悩み=囚われ」だと著者は表現しています。頭のなかで悶々と考えているから、それに囚われてしまい、その悩みといつまでもつきあうことになってしまうということ。しかし、「自分ほめメモ」によって頭のなかすべてを書き出している著者の場合、悩みが頭のなかに停滞していることはないのだそうです。もちろん悩み自体がなくなるわけではありませんが、少なくとも囚われてはいないということ。

それを日常的に実感しているからこそ、「書き出してしまえば、それはもう『悩み』ではなく『解決すべき課題やタスク』になるのだと著者は主張します。だとすれば、あとは解決のために行動するだけ。そして行動すれば、よくも悪くもなにかしらの結果が出るもの。その先は、そこから考えればいいというわけです。(123ページより)

「自分ほめメモ」が、「自分ほめ」の基準

「自分ほめメモ」に、頭のなかにあるすべてを書き出し、「あとは行動するだけ」の状態にすると、後悔がなくなるのだそうです。別な表現を用いるなら、前だけを向いて行動できるようになるということ。そして行動すれば、なにかしらの結果が出るわけで、その結果としてうまくいったことがあれば、自分をほめることができます。

とはいえ、「うまくいかなかった」場合もあるはず。そんなときはどうすればいいのでしょうか? この問いに対して著者は、「それでもほめる」ことが大切なのだと記しています。なぜなら、「うまくいかないこと」はどうでもいいから。

なにかに挑戦してうまくいかなかったら、他の方法を考えればいい。その方法もうまくいかなかったら、また他の方法を考えればいい。それでもうまくいかなかったら、もちろん他の方法を考えればいいということ。

うまくいかないことのほうが多い世のなかで、「やっぱりダメだった」「またうまくいかなかった」と落ち込むのは、時間のムダです。

潜在意識くんにとって一番のご馳走である「ほめ言葉」を、彼/彼女(潜在意識くん)に伝えるために、うまくいかなかったことの中で「何かうまくいった部分はないか?」「1パーセントでもよかったことはないか?」と探し、ほめて上げることが何より大切なのです。(125ページより)

なお、そのときに必要となるのが「ほめる材料」で、著者にとってはそれが「自分ほめメモ」だということ。メモに書かれてあることを基準にし、行動した自分をほめてあげる。毎日に生活で心に刺さった針やトゲを抜き、薬を塗ってあげるというようなイメージ。つまり「自分ほめメモ」は、著者にとって「自分ほめ」の基準であり、癒しでもあるというのです。(124ページより)

寝る前の「自分ほめメモ」で、潜在意識くんにお任せ

著者は普段、「自分ほめメモ」をシャツの胸ポケットに入れて持ち歩いているそうです。どこでアイデアが湧いてくるかわからず、いつ悩みやタスクが発生するかもわからないため、いつでも取り出せるようにしているということ。

また、そんな「自分ほめメモ」を寝る前に写し変えるのも、潜在意識くんを活用するため、彼/彼女(潜在意識くん)は「私たち=顕在化している意識」よりもずっと多くのものを見ることができ、考えることができるもの。頭のなかに標準装備されたスーパー・コンピュータのようなものであり、しかも寝ている間に働いてくれるので、それをうまく活用しない手はないという考え方です。(126ページより)

冒頭でも触れたとおり、「自分をほめる」という行為には多少なりとも気恥ずかしさが伴うもの。しかし心をフラットな状態にして「ほめる習慣」を身につけることができれば、著者がいうとおり楽に生きることができるようになるのかもしれません。

メディアジーン lifehacker
2017年11月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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