『労働者階級の反乱』
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歴史には、現在につながる伏線が必ずある
[レビュアー] 図書新聞
まごうかたなき名著である。アメリカでもイギリスでもオーストリアでも日本でも同じことが起こっている、という言い方がある。一方、「いや、その違いは無視できない」とする意見もある。例えば、本書に「英国にはトランプのような首相は誕生しない」という節があり、著者はそれを論証していく。まったくうらやましい限りだ。「第Ⅱ部 (1)40年後の『ハマータウンの野郎ども』」は、著者にしか書けなかっただろう。また、「第Ⅲ部 英国労働者階級の100年」は圧巻の一言。「歴史には、現在につながる伏線が必ずあるのだ」、そして「我々の未来が100年前にあったかもしれない」との一文で本書は終わる。かなり真面目な筆致だが、読後、間違いなく元気が出る一冊。(10・20刊、二八四頁・本体八二〇円・光文社新書)