カレーの「隠し味」は何だったのか?

レビュー

5
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政治的に正しい警察小説

『政治的に正しい警察小説』

著者
葉真中 顕 [著]
出版社
小学館
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784094064643
発売日
2017/10/06
価格
702円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

カレーの「隠し味」は何だったのか?

[レビュアー] 図書新聞

 『ロスト・ケア』『絶叫』などの作品で社会派ミステリーのレベルを一挙に引き上げ、他の追随を許さない葉真中顕。そんな著者による全六篇の短篇集だ。社会派あり、ブラック・ユーモアあり、風刺あり。葉真中の実力と技巧を存分に堪能できる。表題作は、小説家の「浜名湖安芸」が、謎の編集者の導きで「政治的に正しい警察小説」に取り組むという作品。主人公の名前からして爆笑ものだが、創作論としても読めるところにヒネリがきいている。とりわけ「カレーの女神様」が素晴らしい。タイトルの響きとは裏腹の、まさかまさかの展開にびっくりすること間違いなし。果たして主人公の淳平が食べた、失踪直前に母がつくったカレーの「隠し味」は何だったのか? ますます目が離せない作家である。(10・11刊、三二六頁・本体六五〇円・小学館文庫)

図書新聞
2017年11月4日号(3325号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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