『プレヴェール詩集』
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国民的詩人とはなにものか
[レビュアー] 図書新聞
「国民的詩人」という呼び名は、おそらく優れた作家を言い表しているのだろうが、きっと別のニュアンスもその言葉に含まれていると思う(あのランボーやブルトンは「国民的詩人」だろうか?)。本書は、パリ解放直後に刊行された詩集『ことば』でベストセラー詩人となり、名作映画『天井桟敷の人々』『霧の波止場』の脚本を手掛けるだけでなく、『枯葉』などのシャンソン作詞家としても活躍したジャック・プレヴェールの選詩集。輝かしい数々の文学的・文化的業績もさることながら、その詩は非常に親しみやすく、決して難しいものではない。小笠原豊樹の訳業も相まって、この言葉の優しさ・温かさが国民的(=人間的)と呼ばれる理由であろう。日本の「国民的詩人」谷川俊太郎の解説も収録。(小笠原豊樹訳、8・18刊、三〇四頁・本体八四〇円・岩波文庫)