『世界《宇宙誌》大図鑑』 マイケル・ベンソン著

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世界"宇宙誌"大図鑑

『世界"宇宙誌"大図鑑』

著者
Benson Michael [著]/野下 祥子 [訳]/ベンソン マイケル [著]
出版社
東洋書林
ISBN
9784887218246
価格
8,640円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『世界《宇宙誌》大図鑑』 マイケル・ベンソン著

[レビュアー] 納富信留(ギリシャ哲学研究者・東京大教授)

 地球、月、太陽、星々、大気現象と、人類が古代から現代まで描いてきた宇宙の姿を、300枚の美しい画(え)が見せてくれる。芸術と科学、想像と観察の垣根を越えて、宇宙への感嘆は知的関心を見事に展開してきた。人間は天体の美を目に見える図像で描き出し、それを読み解くことで、宇宙を理解してきたのである。

 その中でも地味な一枚の天体図は、コペルニクスの手稿(しゅこう)。一見古代からのプトレマイオス的天動説の図解に見えるが、その中心に「Sol(太陽)」の語がおかれる。1543年、死の直前に地動説を発表した『天球回転論』(高橋憲一完訳、みすず書房)の基礎となる本図、ぎっしりと書き込まれたテキストには、科学の歴史を変えた天文学者の知見が詰まっている。

 近年進展が著しい宇宙の解明も、人類の長年の空想と表現がもたらした果実である。めくるめく世界を堪能したい。野下祥子訳。

 東洋書林 8000円

読売新聞
2017年11月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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