過疎、独居老人、医師のいない村…。いわゆる僻地(へきち)医療をテーマに、人の「生死」を鮮やかに描き出した小説。家族の成長や人と人との温かなつながりも描かれており、爽やかな読後感や生きることへの肯定感を覚えさせてくれる。
主人公は夫に裏切られた33歳女性。10歳の息子と故郷に戻る場面から物語が始まる。著者は長年看護師として勤務し、過疎地で奔走する医師への密着取材も実施。文章からはリアルさと熱を感じる。
タイトルは「満点」ではなく、「満天」のゴール。読み終えたとき、読者はこの題名の真意に気づくはずだ。(小学館・1400円+税)
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2017年11月26日 掲載
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