『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 内藤陽介著

レビュー

4
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パレスチナ現代史

『パレスチナ現代史』

著者
内藤 陽介 [著]
出版社
えにし書房
ジャンル
歴史・地理/外国歴史
ISBN
9784908073441
発売日
2017/09/25
価格
2,700円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 内藤陽介著

[レビュアー] 奈良岡聰智(政治史学者・京大教授)

 エルサレムはイスラエルの領域内にあるが、旧市街は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地とされている。この中で、イスラム教の聖地であることの象徴として佇立(ちょりつ)し続けてきた「岩のドーム」は、ムスリムの管理下にあり、世界中のムスリムから憧憬の場所とみなされてきた。

 イスラム諸国は、このドームを盛んに切手のデザインに採用してきた。本書はその変遷をたどることで、パレスチナ問題の複雑さを読み解いている。マニアックな書だと思われるかもしれないが、さにあらず。切手のデザインや発行時期の分析から、イスラエルとアラブ諸国の対立の変遷、反イスラエル陣営の多様性などが鮮やかに浮かび上がる。

 郵便の存在感が低下して久しいが、著者は敢(あ)えて「郵便学」を標榜(ひょうぼう)し、「国家のメディア」である切手を通して時代を洞察している。心意気が伝わってくる快作だ。(えにし書房、2500円)

読売新聞
2017年11月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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