『ホームシック』
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がんばれ、ECD
[レビュアー] 図書新聞
昨年、進行性のがんであることを公表し現在も闘病中のラッパー・ECDによる、猫との生活から、写真家・植本一子との出会い、同棲、結婚、そして娘の誕生まで。一人の生活から家族を持つにいたる経緯が、真摯な文章で綴られている。9月には河出書房新社から最新刊『他人の始まり 因果の終わり』が刊行され、植本一子による著作『かなわない』『家族最後の日』『降伏の記録』も刊行のたび話題になっている。それらと併読することによって、本書の魅力と深みはさらに大きなものとなるだろう。なお、多数の写真とともに収録されている植本一子の、自身の出産時を綴ったエッセイ「ビギナーズラック」は、文章の「いわば処女作」とのこと。文筆家としての植本一子の誕生の瞬間がここに。(9・10刊、二〇八頁・本体八八〇円・ちくま文庫)