間違った科学は果たして無意味なのか

レビュー

4
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自然魔術

『自然魔術』

著者
ジャンバッティスタ.デッラ・ポルタ [著]/澤井 繁男 [訳]
出版社
講談社
ジャンル
哲学・宗教・心理学/哲学
ISBN
9784062924313
発売日
2017/05/12
価格
1,058円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

間違った科学は果たして無意味なのか

[レビュアー] 図書新聞

 自然探究としての魔術「自然魔術」あるいは「白魔術」という言葉のニュアンスは、実際は現在で言うところの「科学」に近い。16世紀の時点で近代的な「科学」はまだ存在していなかった。だが、本書は錬金術や呪術などオカルトの類ではなく、当時の経験主義的な自然観に則った知の結晶として書かれたものである。科学の発展とともに、やがて「自然魔術」も学問から切り離されて、本書に書いていることの多くもデタラメとなったが、曲がりなりにも試行される数々の実験・観察の記録や神話的・哲学的な面まで含めた知の横断性、自然への体系的世界観の提示など、正しい知識ではないからと言って簡単に切り捨てることはできない別の面白さを現在でもこの本は秘めている。(澤井繁男訳、5・11刊、二八九頁・本体九八〇円・講談社学術文庫)

図書新聞
2017年12月2日号(3329号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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