断捨離すべきは家事の過剰品質

レビュー

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「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす

『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』

著者
佐光紀子 [著]
出版社
光文社
ジャンル
芸術・生活/家事
ISBN
9784334043230
発売日
2017/11/16
価格
821円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

断捨離すべきは家事の過剰品質

[レビュアー] 林操(コラムニスト)

 タイトルで「日本を滅ぼす」と警鐘を鳴らす新書は、本屋にコーナー作れるくらい多くて、そこに新たに加わったのが『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』。そう大上段から切り込まれたところで、餅ついて大掃除してお節つくって門松立てて蕎麦手繰(たぐ)ってなんて年越し、一切やってない身には実感ないなぁ……ってことは、まったくありません。

 年中行事で言えばクリスマスやハロウィンでやるべきことが年々増えてるし、毎日の家事でも常備菜だキャラ弁だ、整理収納だ断捨離だ、セスキだ重曹だ丁寧に暮らすだと、家事担当者を追い立ててくる新材料は尽きることがない。

 仕事のみならず遊びにまで、社会のみならず家庭でさえ、きっちりを求めすぎるのがこの国の困った癖。実用性を超えた精神性を毎日の家事にまで求めて〝家事道〟的な何かがデッチあげられ、その何かに専業兼業の主婦主夫が縛られてる。収入は伸びず支出は減らずの中、女中や下男がいた時代の水準を求められてもねぇ。

 著者の佐光紀子は翻訳家兼家事評論家。弁当なんてサンドイッチに林檎を添える程度のアメリカがいまだに世界の超大国だったり、朝飯から屋台で外食が相場の香港が平均寿命世界一になったり。ニッポンだってもっと合理的に、手を抜けるところは抜こうよという提言は、古いようで新しく、女だけじゃなく男にも響くところ大。常識や伝統を笠に着て母や妻にオンブにダッコで来たオッサンこそ、読んで泣け。

新潮社 週刊新潮
2017年12月28日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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