【今週の労務書】『日本の賃金を歴史から考える』

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【今週の労務書】『日本の賃金を歴史から考える』

[レビュアー] 労働新聞社

 根源的な思考を誘う

 「稼ぐとは?」――こんな問いかけから始まる本書のテーマは表題どおり「賃金」だが、先進企業の事例や小難しい制度の紹介、またコンサルタントによる実務家向け手ほどきといった類とは一線を画した仕上がりで、「統計表がまったくない賃金の本は多分、本書が最初で最後」(筆者)。賃金とはそれ自体が一体何なのか、歴史を紐解きながら根源的思考を誘う、是非一読を勧めたい内容だ。

 農村社会から工業化社会、そして消費社会へと移行するなかで、家族形態や生活のあり様の変化が時々の賃金を変貌させてきた実態がよく分かり、多様でワーク・ライフ・バランスが求められる今後の賃金のあり様にも一石を投じていて、労使問わずに目を通したい一冊。

労働新聞
平成25年12月9日第2948号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

労働新聞社

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