<東北の本棚>震災後の復旧状況一覧

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全国鉄道事情大研究 東北・東部篇

『全国鉄道事情大研究 東北・東部篇』

著者
川島 令三 [著]
出版社
草思社
ジャンル
産業/交通・通信
ISBN
9784794223043
発売日
2017/10/12
価格
2,052円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>震災後の復旧状況一覧

[レビュアー] 河北新報

 東北の太平洋岸を走る鉄道は東日本大震災で被災し、復興の過程で大きく変貌しつつある。「全国鉄道事情大研究」シリーズを発刊する鉄道アナリストの著者が、路線ごとに復旧状況や課題をまとめた。
 JR東北線黒磯-盛岡間の東側を走る計17路線を取り上げた。各路線で開通や延伸の経緯を振り返り、各駅と車両の現況を写真付きで紹介。1キロ当たりの1日平均乗車人数(輸送密度)などを分析した。常磐線は既刊のため除いた。
 JR仙石線は2015年、高城町-陸前小野間が復旧。4年2カ月ぶりに全線が結ばれると同時に、東北線と接続させた仙石東北ラインが開通した。仙台と高城町以遠を結ぶ区間は利便性が向上した半面、あおば通-松島海岸間は普通列車のみとなり不便になった。
 JR気仙沼線と大船渡線はそれぞれ柳津-気仙沼間、気仙沼-盛間がバス高速輸送システム(BRT)によって復旧。一部に国道を経由する区間があり専用道の増設が望まれる。
 JR山田線は宮古-釜石間での復旧工事が完了した後の18年度、三陸鉄道に移管される。同鉄道は北リアス線、南リアス線と合わせて久慈-盛間を一体運行する。著者は「観光用の通し列車や高速の都市間列車を運行すべきだ」と今後に期待する。
 仙台市地下鉄南北線は市電から転換して開業に至った経緯を説明し、延伸の是非を検討する。阿武隈急行、JR水郡線、磐越東線、八戸線はいずれも、快速運行や増便などによる利便性の向上策を検討する。
 著者はデータの分析や現地の検証を重視し、提言をまとめる。採算性や合理性の面で困難な点は多いが、乗客の立場から改善を訴える論調は評価できる。
 著者は1950年兵庫県芦屋市出身。「蘇(よみがえ)る!被災鉄道」など著書多数。
 草思社03(4580)7676=2052円。

河北新報
2018年1月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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