今年のテーマにしたい「通説にだまされるな」

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「原因と結果」の経済学

『「原因と結果」の経済学』

著者
中室 牧子 [著]/津川 友介 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784478039472
発売日
2017/02/17
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

今年のテーマにしたい「通説にだまされるな」

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

 誰もが情報を発信できる時代になったことで、フェイクニュースをはじめ、誤った情報が拡散されるということが増えている。WEBに限らず、情報やデータを鵜呑みにしてはいけないと実感するようになった。年末に発表された週刊ダイヤモンドのベスト経済書では1位に『「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法』、2位に『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(伊藤公一朗著、光文社新書)と、データから因果関係を見抜くことをテーマにした本が選ばれていた。世間でもデータの正しさを見極める力が求められているのだなと実感した次第である。

 データが正しいかどうかを見抜くには、2つのことがらが因果関係か相関関係かを見極めなくてはいけない。因果関係とは「2つのことがらのうち、どちらかが原因で、どちらかが結果である」状態のことをいう。そして「2つのことがらに関係があるものの、その2つは原因と結果の関係にない」状態を相関関係があるという。例えば、偏差値の高い大学に行けば収入は上がる。もっともなように聞こえるが、これに因果関係はない。

 因果関係か相関関係かを確認するには、「まったくの偶然」ではないか、「第3の変数」は存在していないか、「逆の因果関係」は存在していないか、をチェックする必要がある。また因果関係を証明するには反事実(仮に〇〇しなかったら、どうなっていたか)が必要になる。しかし実際の反事実はタイムマシンがない限り作れないので、もっともらしいデータでそこを穴埋めする。その際に重要なのがエビデンス(科学的根拠)である。結局のところエビデンスがしっかりしているかが重要なのだ。

 フェイクニュースに限らず、すべての情報やニュースのエビデンスをチェックする癖をつけておいても損はないだろう。また日頃から「本当に因果関係があるのか」を考えるトレーニングをするのもいいだろう。そうすれば思い込みや、身の回りにあふれる「もっともらしいが本当は間違っている根拠のない通説」にだまされることもなくなるはずだ。

新潮社 週刊新潮
2018年1月25日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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