明治以降、奈良にゆかりがあった作家や思想家ら41人への手紙という形式。彼らの奈良での足跡や状況、作品などをたどり、当時の思いに寄り添いつつ、著者自身の奈良への愛惜をつづっている。
正倉院の開閉封に立ち会った森鴎外には「日本人の心のたたずまいが残っている夢のような土地」と感じていたのでは…と問いかけ、訪れた記録はないが、残した句から、夏目漱石の「奈良に恋しいお気持ち」も想像する。
与謝野晶子、林芙美子ら女性、アインシュタインら外国人へのものも。その手紙文から奈良の風土の魅力が伝わってくる。(東方出版・1600円+税)
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2018年1月28日 掲載
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