『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』本山勝寛著

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『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』本山勝寛著

[レビュアー] 産経新聞社

 「消費者金融より悪質」「未返済額が急増」などと最近、流布している“奨学金悪玉論”に真っ向から反論する一冊。極貧家庭に育ったという著者は複数の奨学金を得て、公立高から東大工学部、米ハーバード大大学院へ進学。詳細なデータを挙げ、消費者金融より金利が高い実態などなく、大学進学率の増加を見れば延滞者・額の比率はむしろ下がっていると、“悪玉論”のウソを突いてゆく。

 そもそも「借りたもの」を返すのは当然ではないか。制度への批判をよいことに知らぬ顔を決め込む輩(やから)やバカ高い大学授業料の方を世間は非難すべきだろう。(ポプラ新書・800円+税)

産経新聞
2018年2月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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