『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』本山勝寛著
[レビュアー] 産経新聞社
「消費者金融より悪質」「未返済額が急増」などと最近、流布している“奨学金悪玉論”に真っ向から反論する一冊。極貧家庭に育ったという著者は複数の奨学金を得て、公立高から東大工学部、米ハーバード大大学院へ進学。詳細なデータを挙げ、消費者金融より金利が高い実態などなく、大学進学率の増加を見れば延滞者・額の比率はむしろ下がっていると、“悪玉論”のウソを突いてゆく。
そもそも「借りたもの」を返すのは当然ではないか。制度への批判をよいことに知らぬ顔を決め込む輩(やから)やバカ高い大学授業料の方を世間は非難すべきだろう。(ポプラ新書・800円+税)