『雨かんむり漢字読本』
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『雨かんむり漢字読本』円満字二郎著
[レビュアー] 産経新聞社
漢字は悠久の歴史を抱えている。たとえば、雨かんむりに「斉」の旧字体で「霽」の訓読みは「はれる」。3世紀に「晴」ができるまで好天を表していた。本書は、斉に「おしまいにする」という意味があったため、雨が止むから晴と解説し、雨乞いなど古代中国の呪術(じゅじゅつ)師の関心が雨だったという甲骨文字起源説も紹介する。
霽も姿を消したわけではない。尾崎紅葉の「金色夜叉」にも登場し、恋人を金銭ずくで奪われた主人公の心情は「恨みを霽らす」と表記された…。漢和辞典の編集に長年携わった元編集者が漢字の奥深さを軽妙な語り口で解き明かす。(草思社・1400円+税)