『等身の棋士』 北野新太著

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等身の棋士

『等身の棋士』

著者
北野新太 [著]
出版社
ミシマ社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784909394019
発売日
2017/12/16
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『等身の棋士』 北野新太著

[レビュアー] 服部文祥(登山家・作家)

 最年少棋士の藤井聡太四段(当時)の快進撃。加藤一二三(ひふみ)九段の引退。佐藤天彦(あまひこ)名人と将棋ソフトの対決。羽生善治竜王の永世七冠達成と国民栄誉賞への流れ。2017年は将棋界にとって華やかな一年だった。

 その一年を中心に現場で追い、あふれ出す空気感やエピソードをやや情緒的なエッセイに仕立て上げている。

 天才藤井四段を巡る興奮。人工知能が人間の頭脳を追い抜いた手触り。奨励会からプロへの試練。すぐそこにあるタイトルが手からこぼれ落ちる瞬間。「よろしくお願いします」の挨拶(あいさつ)で対局が始まれば、数時間後には勝者と敗者が決まる。悪手、善手、名局はあっても、それらは表には現れず、勝利だけが棋士の存在意義となる。

 〈棋士にとって投了を告げるのは、少しだけ死ぬことなのだ。〉

 強いと言われるもので勝率は八割前後。将棋という難解なゲームを舞台に、知性を削り合う人間の姿は美しい。そんな生き様を選んだ者たちの自己表現が対局に凝縮し、対局後には、かすれたようで濃厚な情景が漂っている。(ミシマ社、1600円)

読売新聞
2018年2月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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