大倉眞一郎×杏  思わず読んでみたくなる本ばかり!〈『BOOK BAR お好みの本、あります。』刊行記念対談〉

対談・鼎談

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BOOK BAR : お好みの本、あります。

『BOOK BAR : お好みの本、あります。』

著者
杏, 1986-大倉, 眞一郎, 1957-
出版社
新潮社
ISBN
9784103516316
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

思わず読んでみたくなる本ばかり!

[文] 新潮社

本好きならではの悩み

大倉 僕の「今ここにある危機」は、僕の部屋が本で爆発したことです。

杏 そういう問題はありますね。

大倉 はい。それで自宅のあらゆる部屋に何十冊かずつ、そーっと置いてるんですが、そのうち絶対に家の者が怒るだろうと。

杏 電子書籍に変えるというのは、また違うんですよね。

大倉 違うんです。僕の場合、この辺で何か出てきたなっていう場所を、手が覚えてるんですよ。電子書籍の場合はそれがわからない。だから本を置いておきたくなる。

杏 これは本当に本好きの人にとっては共通の課題ですよね。

大倉 今はしょうがないから、毎月お金払って倉庫にも入れていますが、何の意味があるのかなあと。

杏 私は手に入りやすい、どメジャーなものは、泣く泣く手放すことにして、だいぶ減らしました。でも装丁が変わっていて、前の装丁が好きだったというような本は手元に取っておくようにするなどしています。

大倉 今、倉庫の天井までぱんぱんに詰めて30箱なんですよ。そこに入れている本も、手放したら絶対手に入らないという本だけにしています。

杏 大倉さんはそもそもそういう本が多いってことですね。

大倉 マニアックな本がね。

本を読むときのひと工夫

杏 大倉さんは以前、帯の扱いに困ってたんですよね。

大倉 そうなんですよ。

杏 私が帯をぱたぱたって畳んで、裏はメモ代わりにして、平たく折ってしおり代わりに本に挟んでいたら、それを見た大倉さんがすごい、いいじゃん!と。

大倉 僕はそれを見るまでは、帯は捨てていたんです。余計な情報は欲しくなかったんですよ。でも、帯でいろんな人がその本について紹介したりしているわけじゃないですか。この人はこんなことを思って帯を書いたんだなっていうのは、あとで見直すときにいいなあと思って。

杏 ラジオで本を紹介するとき、本来はその魅力だけを伝えるのがベストなのかもしれませんが、さらに彩るものとして、帯ではこう言っていますとか、この人もすすめてます、みたいな帯のキャッチーな情報って便利で。

大倉 便利ですよ。だから僕、あれ以来、本の帯は捨ててません。

杏 大倉さんの持ってくる本は、作品によっては、付箋がびっしり貼ってありますよね。

大倉 面白いエピソードが山のように入っていて、そこに貼っていくと、これ結局貼らなくても同じじゃないかっていうぐらいになっちゃうんですよね。

杏 もう、どこが何だかわかんないぐらいの量になっているときもあります(笑)。

大倉 どこが大事というのが、わかんなくなったりするんですよ。

杏 私はドッグイヤーです。ページの端をぴっと軽く折ります。

大倉 端、折ってるよね。

杏 はい。付箋を持ち歩くという発想があまりないですね。

大倉 ないんだ? ドッグイヤーは本を痛めるような感じがしてね。

杏 そうですね。でも別に売る前提じゃないので、いいかなと。

大倉 そうなんだけどね。

杏 でも、私も線は引きません。あえてざっくり、この辺のページ、みたいな。だから見開きどっちのページについてのドッグイヤーなのか、わからないときもあります。

大倉 なるほどね。

杏 あとで使いたい事柄をまた調べないと思い出せないことってあるじゃないですか。だから、言葉遣いや出来事についてとか、ちょっと調べたいことがあると、ページの下の端を折ります。いいじゃんっていう感情のほうはページの上の端を折っています。

大倉 右脳と左脳を使い分けているような、そんな感じですか。

杏 ですかね。事務的なものと感情的なものみたいな。

大倉 そういうルールがあったんだ。

杏 そうなんです、一応(笑)。

新潮社 波
2018年3月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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