『BOOK BAR』
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思わず読んでみたくなる本ばかり!
[文] 新潮社
書籍『BOOK BAR』の見所
杏 めでたく10年ということで、念願の本になりました。私たち、もう何年もBOOK BARを本にしたいと話していて、満を持してという感じですよね。
大倉 そうだね。10年というきっかけは大きかったです。
杏 今回、約1000作品から、選びに選んだ50作品を掲載しています。単純な抜粋ではなく、放送から抜き出しつつ、読み物として面白くしたという感じですよね。本当に悩みました、この作業。
大倉 こんなに悩んだことって、ここ数年ない感じですよ。
杏 自分が面白いと思って紹介しているのだから、基本的には今まで紹介したものは全部面白い。そこからさらに面白い本を選べって言われても……。
大倉 酷ですよ。
杏 私は普段紹介するものもそうなのですが、この本のために選んだものも時代小説が多くて、「それとそれは時代が一緒だから削りましょう」「いや、違うんです!」というようなやり取りをみんなでしましたよね。
大倉 そういうこだわりはあったほうがいいんです(笑)。ちなみに、今回取り上げた本の中で、印象に残っているのは何ですか。
杏 杉本鉞子さんの『武士の娘』でしょうか。明治維新後の時代に、もともと武士の家系の女性が海外に行ったという話です。これをBOOK BARで紹介したご縁で出版社の方から連絡があって、「これのおかげで重版が決まりました」とか、「帯書きませんか」とか言っていただいて。
大倉 おおー!
杏 もちろん、重版が私の紹介だけによるものではないと思うんですが、紹介したことで、その作品とかかわれたのは、すごくうれしかったですね。
大倉 なるほどね。僕はあえて1冊選ぶなら、初期に紹介したヴィカス・スワラップさんの『ぼくと1ルピーの神様』です。
杏 これねー。
大倉 のちに、『スラムドッグ$ミリオネア』という映画になって、アカデミー賞まで取りました。
杏 BOOK BARで紹介したのが、その1年くらい前なんですよね。
大倉 そうなんです。僕はこの本を手に取るまで、すごく苦労をしまして。とにかく本屋にない。Amazonでもいつ入荷するかわからないと出ているから、いつ出るんだと版元に電話しちゃったくらい。
杏 その年のうちに、ヴィカス・スワラップさんが日本にいることがわかって、インタビューまでできましたね。
大倉 はい。ヴィカス・スワラップさん、スタジオに来ていただいて、うれしかったですね。
杏 これがまさかあの映画になるとはっていう。ある意味、紹介するのが本当に早すぎた(笑)。
大倉 BOOK BARで盛り上げたのが、世間には全く知られてなかったっていう本です。
杏 これは一種BOOK BARの伝説になっています。
大倉 伝説になんのやだなあ(笑)。
杏 そういった作品を私と大倉さんで25冊ずつ番組から起こしたもののほかに、第1回目の放送を聞いて2人で対談したものや、書きおろしコラムも収録しました。あと何より、今までの全紹介作品を掲載した、巻末のリストがすごいですよね。
大倉 そう。これ、もしかしたら喜ぶのは僕ら2人だけかもしれないけど、へえっと思う人は思ってくれるんじゃないかな。本によっては手書きでおすすめコメントも入れています。
杏 本文も、あえてジャンル分けしないで、放送順にしたんです。そのほうが面白くじっくり読んでいただけるんじゃないかなと。
大倉 みんな、ものごとをまとめがちじゃないですか。
杏 「泣ける本」とか。
大倉 そんな感じにしたくなかったんですよね。
杏 まさに「四方山話」です。
大倉 そうなんですよ。並びはバラバラではありますが、へえ、へえって言いながら、ちょっとのぞいてみて、さらには購入していただけるとうれしいですね。
杏 満足間違いなしです(笑)。ぜひ学校とかにも、置いていただけると。老若男女、手に取っていただきたい1冊になったと思います。