人の「心」はいかに誠実でいられるか

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人の「心」はいかに誠実でいられるか

[レビュアー] 図書新聞

 日本人にはなかなか理解することが難しい西洋哲学、そしてキリスト教の思想。だからだろうか、ソクラテスやプラトンと比べると、古代ローマの神学者・アウグスティヌスに関する著書が少ないように感じる。そのなかでも、本書はアウグスティヌス自身の生涯を平易な言葉でまとめているだけでなく、その人生に沿って古代末期の北アフリカ・ローマの地理・歴史、同時代のキリスト教をはじめとする宗教とその体験、さらに現在まで影響を及ぼしている「自由意志」や「神の国」まで端的にわかりやすく論じている。その哲学や言葉はキリスト教と深く結びついていながら、現代日本にも通じる普遍性を備えていたのだ。『告白』『神の国』といった大著を読み通す体力も背景知識もない現代人にとって、本書は画期的な入門書であるだけでなく、キリスト教思想の高い倫理観にも触れることができる最良の一冊だ。(10・20刊、二〇八頁・本体七六〇円・岩波新書)

図書新聞
2018年3月3日号(3341号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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