『公文書問題 日本の「闇」の核心』
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公文書破棄や隠蔽は国民主権の侵害である
[レビュアー] 図書新聞
衆議院の予算委員会では連日、森友・加計学園をめぐる安倍政権の証拠隠し、公文書の有無をめぐって質疑が続く。閣僚や官僚の答弁はのらりくらりの繰り返しで、眼を覆わんばかりだ。南スーダンでの自衛隊日報破棄問題を含め、政府の情報隠しと国民に対する「由らしむべし知らしむべからず」の姿勢はあまりに露骨である。公文書問題は安倍政権の体質そのものの問題といってよい。この国の情報公開と公文書管理のあり方はどうなっているのか。本書はずばりその問題に切り込んだ気鋭の一書。公文書管理がすざんな背景には、「天皇の官吏」であり国民に対する説明責任を負わない明治期の公務員制度が、戦後も続いた歴史がある。政策決定のプロセスを明示することに関して、公務員や政治家の意識がきわめて低い点に、著者は問題の根を見る。国民主権とは何か、私たちは本書を手に改めて問い直すときだ。(2・21刊、二二四頁・本体七四〇円・集英社新書)