『やっぱり友だちはいらない。』 押井守著

レビュー

6
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やっぱり友だちはいらない。

『やっぱり友だちはいらない。』

著者
押井守 [著]
出版社
東京ニュース通信社
ジャンル
芸術・生活/演劇・映画
ISBN
9784198645380
発売日
2017/12/19
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『やっぱり友だちはいらない。』 押井守著

[レビュアー] 岸本佐知子(翻訳家)

 インタビューが始まって早々に、押井守さんは「友だちはいらない」と言い切る。でもそんなこと言っといて本当はツンデレなんでしょ? と思いながら読んだが、最後まで「いらない」で押し通すストロングスタイルだった。

 押井さんは大勢の仕事仲間や家族や師匠に恵まれているが、本人いわくそれは友だちではない。なぜなら彼の友だちの定義は「自分がイラクで失踪した時に危険を顧みず飛行機に飛び乗ってくれる人」だから。そんな無駄に高いハードル設定じゃ、そりゃ友だちはいないよね……と思うが、裏を返せば究極のロマンチストと言えなくもない。

 人生や仕事、社会をめぐって押井さんの説く持論は要塞(ようさい)のごとく強く独特で揺るぎない。だが聞き手の渡辺麻紀さんは何度跳ね返されても平ちゃらで要塞に突撃を繰り返し、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』をはじめ数多(あまた)の傑作アニメを生み出したこの偉大な頭脳から、数々の本音や逸話を引き出してみせる。ことに師匠とのエピソードは、それだけで映画が一本作れそうなほどのドラマに胸が熱くなった。

 東京ニュース通信社 1300円

読売新聞
2018年3月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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