<東北の本棚>東西の名言医療に活用

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名医の身心ことばセラピー

『名医の身心ことばセラピー』

著者
上月正博 [著]
出版社
さくら舎
ISBN
9784865811315
発売日
2017/12/08
価格
1,540円(税込)

書籍情報:openBD

<東北の本棚>東西の名言医療に活用

[レビュアー] 河北新報

 リハビリテーション医学の第一人者で総合内科専門医でもある著者が、医療の現場で使っている東西の名言を紹介する。先人の教えに自身の人生経験を添え、読者が体と心を健やかに保って実り豊かな人生を送るための処方箋とした。専門家の立場から仕事や通勤の合間にできる簡単な運動やダイエットのこつも紹介している。
 著者が勤務する東北大病院では、心臓や腎臓などの内臓疾患や極度の肥満を患う人たちが日々リハビリに励む。食事療法や運動療法は適切に継続すれば非常に有効だが、投薬と違って本人のやる気が効果を左右するという。
 「なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない」「美味(おい)しいモノはもう一口よりも、もう一噛(ひとか)みを」。著者は診察の折に触れて先人の知恵を紹介し、患者の行動とやる気を後押ししてきた。体重244キロの肥満患者は毎日1200キロカロリーの食事と1万歩の歩行を続け、126キロもの減量に成功。持病の心不全と呼吸不全も治ったというから驚く。本人の努力はもちろん、それを支えた言葉の力、恐るべしだ。
 ダイエットに仕事、学業と人生で結果を出したい事柄は人それぞれだが、大事なのは始めることと継続すること。頭では分かるが最初の一歩をためらう人に向け、著者は帝政ローマ末期の詩人アウソニウスの言葉を借りてエールを送る。「大変な仕事だと思っても、まず、とりかかってごらんなさい。仕事に手をつけた、それで半分の仕事は終わってしまったのです」
 著者は1956年山形市生まれ。東北大医学部卒。同大大学院医学系研究科教授。医学博士。
 さくら舎03(5211)6533=1512円。

河北新報
2018年3月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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