日本画とは何だったのか 近代日本画史論 古田亮 著

レビュー

7
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日本画とは何だったのか 近代日本画史論

『日本画とは何だったのか 近代日本画史論』

著者
古田 亮 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784047036253
発売日
2018/01/26
価格
2,592円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

日本画とは何だったのか 近代日本画史論 古田亮 著

[レビュアー] 安村敏信(美術史家)

◆西洋絵画の影響を受けて

 題名の「日本画とは何だったのか」という日本画を過去のものとして振りかえる姿勢に興味をもって、本書を手に取った。

 著者は、近代日本画が近代日本という国家体制の中で洋画との対概念として生まれ、第二次大戦の終結による天皇を中心とする国家体制の消滅とともに終焉(しゅうえん)を迎えたとする。そのために題が過去形だったのだ。

 著者の日本画に対する基本姿勢は、日本画をクレオールとしてとらえるものだ。植民地で宗主国の言語と現地語が混成した言葉をクレオール言語というそうだ。同様に、何らかの植民地的環境が生じて否応(いやおう)なく順応するために、その土地のものが変化することをクレオール化という。そこで、十九世紀後半に西洋化の波を受け、西洋絵画の圧倒的な影響を受けた日本の絵画が、日本画と洋画という二つのクレオール絵画を生み出した、と考えるのである。

 この考え方は、十八世紀に中国から南画が、オランダから西洋画が流入し、和画の他に唐画、蘭画というジャンルが生まれたこともクレオール化とする見方を可能にし、江戸絵画史への新しい視点をも提供して興味深い。

 本書は、近代日本画のはじまりである江戸後期や幕末明治初期の輻湊(ふくそう)した様相から説きおこし、明治十年代から戦中・戦後の一九五〇年代前後まで、十年ごとに分けて日本画の動向を詳細に述べてゆく。幕末明治初期や明治・大正・昭和期の分析において、東京の動向だけでなく、京都の動向にも目を向け、具体的作品を提示して考察してゆく論述には説得力がある。

 さらに、日本美術院や文展・再興院展の動向のみならず、旧派と称される画家たちや南画・新南画の動き、戦中にあって戦争画に加わった画家とモダニズムに向かう画家など幅広く述べ、近代日本画史を丁寧に語っている。

 その後、日本画は消滅したか。戦後は現代日本画として今も生きている。

(角川選書・2592円)

<ふるた・りょう> 1964年生まれ。東京芸術大大学美術館准教授。

◆もう1冊

 古田亮著『狩野芳崖・高橋由一-日本画も西洋画も帰する処は同一の処』(ミネルヴァ書房)。近代美術を模索した画家二人の人生。

中日新聞 東京新聞
2018年3月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

中日新聞 東京新聞

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