ダン・ブラウン新作 一気読み必至の大活劇

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オリジン 上

『オリジン 上』

著者
ダン・ブラウン [著]/越前 敏弥 [訳]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784041055779
発売日
2018/02/28
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

オリジン 下

『オリジン 下』

著者
ダン・ブラウン [著]/越前 敏弥 [訳]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784041055977
発売日
2018/02/28
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

期待を裏切らない大風呂敷 「一気読み必至」の大活劇

[レビュアー] 香山二三郎(コラムニスト)

『ダ・ヴィンチ・コード』の世界的ヒットで自らハードルを高く上げてしまったか、次作『ロスト・シンボル』の刊行まで六年を要したダン・ブラウン。しかしその後はペースを取り戻し、『インフェルノ』に本書『オリジン』と四年間隔で新作を出している。復調したのは出版ぺースだけではない。著者本来の大風呂敷を広げたクロスジャンルの妙を堪能させる仕上がりになっているのだ。

 今回はコンピュータ科学の天才で未来学者のエドモンド・カーシュがスペインの聖所モンセラット修道院でキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の各指導者と会見するところから始まる。カーシュは「人間の経験に関する最も根源的な問いのふたつ」の答えとなる科学的発見に成功したと告げる。それは世界中の宗教信者を崩壊させるような情報だと。

 すなわち、われわれはどこから来たのか、そしてどこへ行くのか。

 三日後、カーシュはスペインの現代美術の拠点、グッゲンハイム美術館でその歴史的発見を大々的に発表しようとする。会場にはカーシュの師であるハーヴァード大学教授ロバート・ラングドンも招かれるが、プレゼンテーションを前にカーシュは凶弾に倒れてしまう。

 カーシュの発表の阻止を謀る者の仕業か、モンセラットに集った宗教指導者たちも命を狙われ始めた。ラングドンはカーシュの発見内容を探るため、グッゲンハイム美術館館長アンブラ・ビダルとともにカーシュの家があるバルセロナに赴くが……。

 主役はもちろんラングドンだが、脇役もキャラが立っていて、特にカーシュの右腕、人工知能ウィンストンの声だけの演技が秀逸。スペイン国王太子と婚約中のアンブラも王宮の干渉を受け、事件をややこしくする。宗教、美術、先端科学という三種の蘊蓄を駆使する一方、事件の黒幕探しや愛憎劇、活劇演出までも怠りのない「一気読み必至」のエンタテインメント巨篇だ。

新潮社 週刊新潮
2018年3月22日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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