『日本現代怪異事典』 朝里樹著

レビュー

6
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日本現代怪異事典

『日本現代怪異事典』

著者
朝里 樹 [著]
出版社
笠間書院
ジャンル
社会科学/民族・風習
ISBN
9784305708595
発売日
2018/01/17
価格
2,376円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『日本現代怪異事典』 朝里樹著

[レビュアー] 土方正志(出版社「荒蝦夷」代表)

 とてつもなく愉快な本、ありそうでなかった一冊である。戦後日本で語られたさまざまな「怪異」を集め尽くした「事典」とくれば、なにやらおどろおどろしいが、あにはからんやニヤニヤさせられたり爆笑させられたり、まあ、ちょっとはコワくもあるけれど、都市伝説に噂(うわさ)話に学校怪談などなど収録怪異一千項目以上。私の世代だと「こっくりさん」や「ツチノコ」だが、少し時代を下れば「口裂け女」に「トイレの花子さん」か。それらのバリエーションも網羅して、同じ怪異が地域によってスジが違ったり、オチに変化があったりと、どこから読んでも楽しめる。

 語り口は軽やかにユーモラス、五十音順・類似怪異・出没場所・使用凶器・都道府県別と索引も愉快に便利だが、例えば一家に一冊いかがだろう。おじいちゃんおばあちゃんに、お父さんお母さん、そして現代の子供たち、それぞれに「あっ、これ知ってる」とか「えっ、知らなかった」と家族の会話が盛り上がる。もしかすると『耳袋』や『遠野物語』のように、百年後の読者は本書によって私たちの時代を知ることになるのかもしれない。(笠間書院、2200円)

読売新聞
2018年3月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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