児童書 『かぶきわらしの義経千本桜』庄司三智子文・絵

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かぶきわらしの義経千本桜

『かぶきわらしの義経千本桜』

著者
庄司三智子 [著]/古井戸秀夫 [解説]
出版社
出版ワークス
ジャンル
芸術・生活/演劇・映画
ISBN
9784907108199
発売日
2018/02/23
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

児童書 『かぶきわらしの義経千本桜』庄司三智子文・絵

[レビュアー] 永井優子

 ■観音開きから華やかな舞台

 義経のゆくえを尋ねて花盛りの吉野山を行く、静御前と佐藤忠信の主従。義経の隠れ家にたどりつくと、そこにはすでに忠信がいて…。狐(きつね)の化身が活躍する「義経千本桜」の「四(し)の切(きり)」(河連法眼館(かわつらほうげんやかた))。舞台真ん中の階段から突然現れたり、急に姿を消したと思ったら次の瞬間、床下から飛び出したり-観音開きになった絵本のページをめくっていくと、狐忠信の神出鬼没の動きが再現される。

 芝居小屋に住んでいる「かぶきわらし」が、歌舞伎の名作をやさしく解説するシリーズの2作目。観客が見上げる定式幕を真ん中から開くと、華やかな舞台が現れる。平知盛の最期を描く「大物浦(だいもつのうら)」、華やかな「道行(みちゆき)初音旅(はつねのたび)」の場面など、あらすじと見どころのほかに、言葉遊びのせりふもじっくりと味わえる。

 床下の早ぬけ、欄干わたりなど舞台裏の種明かしもある。舞台の「けれん」と絵本の「しかけ」が一つになって、客席の興奮まで封じ込められている。練り上げられた演出や、歌舞伎の世界観に感激したら、次はぜひ劇場へ。(出版ワークス・1800円+税)

 永井優子

産経新聞
2018年3月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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