【聞きたい。】吉田尚記さん 『没頭力』 漠然とした不安の「攻略法」

インタビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

【聞きたい。】吉田尚記さん 『没頭力』 漠然とした不安の「攻略法」

[文] 本間英士


吉田尚記さん

 「何となくつまらない」-。多くの人が日々経験するこの感情を人生の「ラスボス(最大の敵)」と位置づけたうえで、解消のための“攻略法”を示す。

 「漠然とした不安を解決するには、何かに『没頭』する力が必要。こういう話題は得てして“精神論”になりがちですが、理論に基づいた、人生の『攻略本』を書きたかったんです」

 著者は漫画やアニメに造詣が深く、「よっぴー」の愛称で知られる人気アナウンサー。平成27年から約3年にわたり、精神科医らへの取材を重ねたうえで、動画配信サービスで話した内容を一冊の本にまとめた。

 本書では、人生の目標を「上機嫌で生きる」ことに設定。そのためには「趣味でも仕事でも、アニメでもいい。不安を忘れ、自分を楽しませる何かに没頭することが大事」と力説する。さらに、没頭に至るには「不安」「開き直り」のプロセスを経る必要があるというメカニズムを分析し、没頭に至る方法を具体例を交え解説する。

 「没頭に必要なのは運でも才能でもなく、技術。自分を楽しませる技術は、年齢や経験を重ねるほど身につけられます。不安に食い殺されるのではなく、飼い慣らすことが重要です」

 この攻略法を体得できたのは、著者自身が生来の「コミュ障」(他人との交流が苦手な人)を自覚しているからだ。アナウンサーになってからもこのコンプレックスを抱き続けたが、その原因を一つ一つ分析し、克服に繋(つな)げた経験が本書執筆の背景にある。現在は「マンガ大賞」実行委員など業種を超えた活動を展開。先日、東京・渋谷のセンター街で落語を披露し、今春には初舞台に挑戦する。

 「10代、20代の頃は『不安だ…』と毎日思っていましたが、今振り返ると不安は没頭への第一歩。今は不安をストレスではなく、チャンスだと思えるようになりました。だから僕は、40代の今が一番楽しいんです」(太田出版・1111円+税)

 本間英士

   ◇

【プロフィル】吉田尚記

 よしだ・ひさのり 昭和50年、東京都生まれ。慶大卒。平成11年、ニッポン放送入社。主な著書に『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』など。

産経新聞
2018年3月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク