明文堂書店石川松任店「バナナの皮は如何にしてギャグとなったのか?」【書店員レビュー】

レビュー

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バナナの皮はなぜすべるのか?

『バナナの皮はなぜすべるのか?』

著者
黒木 夏美 [著]
出版社
筑摩書房
ジャンル
総記/総記
ISBN
9784480434876
発売日
2018/01/10
価格
1,026円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

バナナの皮は如何にしてギャグとなったのか?

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

《バナナの皮ギャグは国境を越え時代を超え、作品のジャンルの違いを乗り越えて、今日まで受け継がれてきた。チャップリンやドリフターズを知らない人は現在ではすでに珍しくなくなりつつあるが、バナナの皮ギャグならなぜか誰もが知っている。そんな驚異的な知名度を誇るバナナの皮ギャグ、しかしそれは有名無名の大勢の笑いの職人たちがバナナの皮ギャグをリレーし続けてくれたおかげなのである。》
 本書は《バナナの皮ですべる》という誰もが知る定番ギャグを論じた一冊です。それ以上でも以下でも無いのですが、このギャグへ傾ける著者の情熱が素晴らしく魅力的です。序文にこんな文章があります。《よく考えると、バナナの皮ギャグなんてつまらないギャグ、下等な笑いの代名詞のようなものでしかないし、そんなものの正体が分かったところでバナナの皮ほどの価値もないのかもしれない。それに、評論家や研究者はこれまで大勢いたはずなのに、この問題に本気で取り組んだ人は誰もいないようだ。取り組む意味が大してないからだろう。》そんなことを言いつつも著者は、バナナの皮に関係する数多くの作品や資料(あるいは出来事)に当たりながら、そのギャグの本質を紐解いていきます。意味を度外視して自身のしたいことに情熱を注ぐ。その姿勢に尊敬の念を抱きました。
 使い古され、色褪せたはずのギャグが、論じられることによってふたたび強く輝き出す。ギャグ好き必携の一冊です。そして本書はバナナに関するあらゆる事柄に触れていくので、バナナ自体の奥深さまで知ることができます。そういう意味ではバナナ好き必携の一冊とも言えるかもしれない。というよりも、バナナの皮、と聞いて、すべる、と思い浮かべた人、必携の一冊なのです。大体の人は思い浮かべますよね?

トーハン e-hon
2018年2月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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