渕書店 BOOKSTORE FUCHI「想像力爆発のために周到に用意された写真絵本」【書店員レビュー】

レビュー

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想像力爆発のために周到に用意された写真絵本

[レビュアー] 渕書店 BOOKSTORE FUCHI(書店員)

おもしろい。そして制作者の、この写真絵本にこめた意味深い意図を感じる。とても言葉でまとめ上げることなど読者の力では不可能。或いはいくらでも本書を評することはできるが、多分そのスキームをするするするするといくらだって360°の方向へとふらふら逃げていくに違いない。~イスに打ち込まれイスを支えてる釘がイスの中にどう打ち込まれているか?針山に突き刺さっている針がどのように針山の中に突き刺さっているのか?ブタの貯金箱の中でコインはどのように眠っているか?・・・等々、ページをめくるごとに登場するモノの中身を、想像してみろという問いとその答え。とてもシンプルなQ &A集。人が目に見えないものを想像する力をひそかににくすぐる。読者は、これを奔放な想像力を持っているであろう子供が読めば、本書の答えとは全く異なる別の答えを、大人が納得せざるを得ないものとして提出しそうな気がする。そして、微笑ましく思いそうだし、驚愕しそうな気もする。これは製作者側も意図できない、いわば想像力爆発の瞬間との出会い。仮にそうだとすればそれは読者が本書を語ることができるはずはないのである。

トーハン e-hon
2018年3月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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