『登山者のための法律入門』 溝手康史著

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登山者のための法律入門

『登山者のための法律入門』

著者
溝手 康史 [著]
出版社
山と溪谷社
ISBN
9784635510486
価格
972円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『登山者のための法律入門』 溝手康史著

[レビュアー] 服部文祥(登山家・作家)

 山岳地帯に自ら赴き、自由意志で活動する登山に、本来社会システムの内側の約束である「法律」は必要ない。自然の中で自分で判断し、その結果がどうであれ自分で責任をとるのが登山であり、登山の「自由」はそこが核心部である。

 だが、山がレクリエーションの場や教育の場、ガイドが客を連れて行く商売の場になるにつれ、登山中の判断が他者に委ねられ、遭難事故が発生した場合、その責任を他者に負わせるようになった。

 そもそも山は自由に登っていいのか? 山でテントを張っていいのか? 登山中の事故で他人を訴えるとは?

 山登りにおける根本的な疑問から最近の訴訟問題まで、実際に起こった事故事例とその後の裁判、海外や他のスポーツとの比較などが紹介される。著者も自らが登山をおこなう弁護士であるため、自主自立という登山の根源的な魅力を理解した上で、登山者の感覚と世間一般の感覚の差を明確に意識して本書は書かれており、お互いの戸惑いがどこから生じ、なにが社会的な問題になっているのかがよく理解できる。

 山と渓谷社、900円

読売新聞
2018年4月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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