<東北の本棚>女戯作者が痛快謎解き

レビュー

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草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 [3]

『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 [3]』

著者
平谷 美樹 [著]
出版社
大和書房
ISBN
9784479306849
価格
734円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>女戯作者が痛快謎解き

[レビュアー] 河北新報

 江戸時代の戯作者が卓越した推理などで怪事件の真相を解き明かす時代小説のシリーズ3作目。江戸の生活感が存分に味わえ、人情味豊かで巧妙なストーリーテリングがさえる快作だ。
 文庫書き下ろしの本書には、短編3話と掌編3話を収録。「唐紅(からくれない) 気早の紅葉狩り」では、江戸にある本屋「草紙屋薬楽堂」が特別にあしらえた唐紅色の表紙紙が盗まれる。
 その本屋は知恵者で知られる女戯作者の鉢野金魚(きんとと)と懇意にしていた。鉢野とイケメンで貧しい戯作者の本能寺無念が、表紙紙を取りもどそうと奮闘する。その過程で予想もつかない複雑な人間模様と各人のままならない心情が、浮き彫りになっていく。江戸の製本や装丁の事情も詳細に書き込まれ、興味深い。
 「盂蘭盆会(うらぼんえ) 無念の推当(おしあて)」では、鉢野の住む長屋にかつて世話になった人の幽霊が訪れるという怪異現象の謎に「薬楽堂」の面々が挑む。
 「無念無惨(むざん) 師走のお施餓鬼」は、本能寺の悲しい過去と抱えている苦悩をつづった物語だ。
 著者は1960年久慈市生まれ。岩手県金ケ崎町在住。2000年に「エリ・エリ」で小松左京賞を受賞。08年10月から687回にわたって、河北新報朝刊に「沙棗(さそう)~義経になった男」を連載した。
 大和書房03(3203)4511=734円。

河北新報
2018年4月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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