AIをどこまで恐れるか BIはその処方となるか

レビュー

10
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AIとBIはいかに人間を変えるのか

『AIとBIはいかに人間を変えるのか』

著者
波頭 亮 [著]
出版社
幻冬舎
ISBN
9784344032606
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

AIをどこまで恐れるか BIはその処方となるか

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

『AIとBIはいかに人間を変えるのか』や『AI vs.教科書が読めない子どもたち』(新井紀子・著、東洋経済新報社)など、AI関連の書籍が好調だ。前者は発売前に重版が決まり、後者は発売3週間で10万部を超えるベストセラーとなっている。

 AIに関心が集まっている要因の一つとしてシンギュラリティ(技術的特異点)が話題になっていることがある。シンギュラリティとはAIが人間の力を借りることなく、自分自身よりも能力の高いAIを作り出すことができるようになる地点のことだ。人間の能力を上回る万能なAIが生まれることで、世界はいったいどうなってしまうのだろう?と不安に思っている人が多いのかもしれない。

 しかし心配は無用だ。「シンギュラリティは来ない」と後者の本では断言している。AIというのは決して万能なものではないのだ。しかも現時点においては真の意味でのAIというものは存在していないそうだ。みながAIと呼んでいるものはAI技術のことを指しているのである。AIには得意なことと、不得意なことがある。論理、確率、統計といった数学の言葉を用いたものは得意だけど、「おいしい」と「まずい」の違いのような言語の意味を理解することができない。

 それでも近い将来には多くの仕事がAIに代替されるのは間違いない。そうなったときにBI(ベーシック・インカム)を導入してはどうか?という提案をしているのが前者の本である。実際にBIが導入されたら社会はどうなるのか? また働く必要がなくなった世界で、私たちはどう生きるのか?という未来予測もしている。BI導入の議論の際によく言われるフリーライダー問題(働かない人が増えるのでは?)、導入の際の財源はどうするのか? などを実証研究の事例を元に検証、反証し、BIを導入することの合理性と必然性を説いている。この本を読むとBIこそが未来を救う鍵なのでは?と思えてくる。食うため、生きるために、働く必要がなくなる未来というのはとても魅力的である。そんな未来が実際に訪れたとき、「あなたにはやりたいことがありますか?」

新潮社 週刊新潮
2018年4月19日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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