【聞きたい。】星野概念さん 『ラブという薬』いとうせいこう共著

インタビュー

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ラブという薬

『ラブという薬』

著者
いとうせいこう [著]/星野概念 [著]
出版社
リトル・モア
ISBN
9784898154731
発売日
2018/02/22
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【聞きたい。】星野概念さん 『ラブという薬』いとうせいこう共著

[文] 産経新聞社


星野概念さん

 ■気楽に精神科に行こう

 「日本では精神科のハードルが高い。もっと気軽に使ってもらいたいのですが…」

 ケガをすれば外科に行くように、気持ちがつらかったら精神科に行く。当たり前のことなのに、カウンセリングは「大変なこと」と思われている。偏見や誤解をなんとかしたい-と企画されたのがこの対談本。

 精神科医の星野概念さん(39)は作家のいとうせいこうさん(57)の主治医。同じ音楽バンドの一員だったが、ある日、カウンセリングを依頼された。引き受けて対話を重ねるうち、「2人の会話を出版しよう」と誘われた。

 診察室でのやり取りを開けっぴろげに振り返る。精神科医は、どんな具合に相手の心を解き明かし、どうやって信頼を得ていくか。一方の受診者は、何が不安なのか、対話をどう感じるのか、なぜ気分が楽になっていくのか。

 星野さんが、精神科医の仕事は〈患者さんを治してあげることじゃなくて、その人が自分で治るのを応援すること〉と位置づけているのが印象的だ。

 「問題はわかっても、解決法はわからない。ただ、いろいろな手段を知っているので、これをやってみますか-と話し合う。気持ちを少しずつ楽にしていくための伴走者なんです」

 小さな不安への対処法や医師の選び方など、参考になりそうな話はたくさん出てくるが、ノウハウ本ではない。むしろ結論めいたものを遠ざけている。なぜなら、人それぞれで最善策も違うから。だからこそ、傾聴と共感を伴った対話の重みが理解できていく。精神科医は「安心して話せる相手」であることがなにより大切で、相性のいい人を探せばいい、とも。

 「美容院でカットが気に入らなかったら、店を変えますよね。精神科も同じように、自分と合わなければ変えればいい」

 対話のカタチをした薬。帯にはそう記されている。「何が効くとは言えないですが、読んでいる人がちょっとでもふわっとした気持ちになってくれればうれしいです」(リトルモア・1500円+税)

 篠原知存

   ◇

【プロフィル】星野概念

 ほしの・がいねん 精神科医。昭和53年、東京生まれ。ミュージシャンとしても活動。本書が初の著書。

産経新聞
2018年4月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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