<東北の本棚>津軽の精神世界に迫る

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巫者のいる日常

『巫者のいる日常』

著者
村上晶 [著]
出版社
春風社
ISBN
9784861105586
発売日
2017/08/10
価格
3,780円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>津軽の精神世界に迫る

[レビュアー] 河北新報

 津軽地方にはカミサマと呼ばれる霊能者がいる。「神のお告げ」を知らせ、減少するイタコに代わって死者の口寄せをする。非合理的だと一言で片付けられないほど、多くの人が頼りにするのはなぜか。宗教社会学を専攻する著者がフィールドワークを通じ、現代の巫者(ふしゃ)=シャーマンに迫った。
 イタコは先輩の下で修行し、儀礼を経て一人前になる。カミサマは病気に苦しんだ人や神とつながる力を持つとされる人が独自に修行する。女性が多く男性は少ない。
 青森市の石神神社や弘前市の赤倉山神社は修行場として有名だ。山を駆け滝に打たれ、厳しい食事制限を経て免許をもらう。中には修行場と無関係に「眠っている間に天に昇り修行をした」と称する人もいる。
 春祈祷(きとう)の担い手はイタコからカミサマに変わりつつある。集会所や個人宅に集まった住民の前で神仏の名を唱え、一人一人にお告げを伝え、口寄せをする。
 1942年生まれのカミサマは20年間に100カ所以上で春祈祷をした。ある集落では、死亡した男性の霊魂が取りついた。妻だった女性に向かってお供えの準備について礼を言った後、「もう少し化粧して」と語り、周囲は大笑いする。おどろおどろしいイメージとは懸け離れた光景だ。
 関東で活動するスピリチュアルセラピストについて考察。「津軽ではカミサマとの仲介役や祭具を売る仏具店が加わり、社会との関係に広がりがある」と分析する。やや文章が難解だが、「超現実」にすがる人たちの精神世界を読み取れる。
 著者は1984年浜松市生まれ。筑波大大学院博士課程修了。白百合女子大などで非常勤講師を務める。
 春風社045(261)3168=3780円。

河北新報
2018年5月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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